デメリットがあることも把握しよう

介護業界では、慢性的な人手不足を解消するため、派遣社員の導入を積極的に行っています。派遣の1つとして紹介予定派遣という形態があります。派遣社員として一定期間働くのは一般的な派遣と同じですが、紹介予定派遣の場合、一般的な派遣と異なり派遣期間終了後に派遣先の企業と雇用契約を直接結ぶことができます。成立すると、そのまま派遣先企業の社員として働けるというシステムが紹介予定派遣です。ただし、紹介予定派遣では、派遣期間終了後に必ず派遣先企業と雇用契約を締結してもらえると決まっている訳ではありません。雇用条件等について派遣社員と派遣先企業の合意が成立しなければ、派遣期間だけ働いておしまいということになります。

そもそも、紹介予定派遣の応募先となる介護の職場が非常に少ないため、応募しても派遣すらしてもらえない場合が多いのが実情です。会社の社員として正式な採用を前提としている以上、企業としても安易に紹介予定派遣を依頼できないのです。また、通常の派遣より試用期間が短く半年ほどしかないので、派遣社員は派遣先が自分に適しているのか見極めることが難しいといえるでしょう。介護現場では人間関係が重要であり、短期間では判断することが困難です。そして、仮に雇用契約を締結できたとしても、なかなか正社員にはなれないのが現状です。さらに、通常の試用期間の給与よりも紹介予定派遣の場合は派遣期間中の給与が良いとはいえ、直接雇用契約を締結した後は下がるケースも珍しくありません。元々低賃金の介護職にとって、給与の低下はダメージが大きいのです。有給休暇の発生の時期についても、一般の雇用契約より遅い場合があります。激務が続き過労気味の介護現場では、有休の発生時期が極めて重要なのです。